悩めよわがおつむ

法科大学院で学ぶ学生が日々の学習記録と些細な思いの節を綴るブログ

模試総括

今回長いです。

 

さて、今日で長い模試も終わりました。思うところは色々とあるのでそれをまとめて一つ自分の中に杭として打ち込めればと思います。

 

今回の模試については1日終わるごとに感想などを書いていこうと思っていたのですが、2日目の民事系で爆死したために書く気が失せ、模試が全部終わってからまとめて書こうと思うに至りました。

 

・総論

 まず、今回の模試を受験する前は模試の上位30%以内に食い込むことを目標として掲げていました。というのも、今回受験した模試というのが私の通うロースクール主催のものなので、基本的に学内の人間と卒業生が受けるという形になるのですが、私のロースクールでの司法試験合格率が大体30%くらいなのです。

 そのため、模試で上位30%内に入ることができれば、現状司法試験合格に届き得る実力があると推定できるので、それを一つの基準として目標設定をしたわけです。

 しかし、蓋を開ければなんてことはなく、上位30%には到底及びそうもない答案ばかり書いてしまう始末でした。そもそも現状司法試験合格できる実力があるなら、今年の予備試験には落ちたりしないわけで、今年の予備試験に落ちているからには司法試験に到底及ぶべくもないことは当初からわかりきっていたことなのでした。

 

 さて、このように当初意気込んで掲げた目標を大きく下方修正することになったわけですが、大きく目標を掲げていた頃も、それはそれでモチベーションを意識して勉強に取り組むことができたので、決して大きな間違いではなかったと思っています。(現実が見えていなかっただけ)

 

 それ以上に、今回初めて司法試験に近い形での演習を経験したわけですが、総括として全体の印象を述べると、決して難しくはないでした。悲惨な結果になっていながら何を言うかとも思われるかもしれませんが、今回挑んだ法律7科目の中には当然苦手な科目も得意な科目もあるわけですが、全くペンが進まないような手も足も出ないような問題は一つもなく、どこかで見たことがある、あるいは何か知っている、そう頭の片隅を突かれるような問題が多かったと思います。

 そのため、仮に今回の模試も司法試験と遜色ないレベルの試験だったとした場合、やはり、司法試験でも重要なのは新しい学説、新しい理論、最先端の研究、ではなく、同じ本を延々とまわし続けて得られる反復知識にあるのだと思います。

 基本的なことを、基本通りに表現し、基本を土台として成り立つ発展についてやはり基本を出発点に解を見つける。これが司法試験という実務家登用試験の本質なのだと思いました。

 よくよく考えれば、ロースクールに進学しなくても学部在学中に合格できる方が多々おられることを考えれば、ロースクールで学ぶ先端教育は決して必須の要素ではなく、その背景にある基礎的知識の習得にこそ大きな意義があるものと感じました。

 もちろん、今回試験で聞かれていることは基本的なことなのに、うまく答えられなかったことは多々ありましたので、その点は自分の中でまだまだ反復知識としての習得が甘かったと思いますが、同じ本についての学習をあと何度も繰り返せば必ず伸びると感じました。

 

 ロースクールではいろんな人がいろんな本を利用して学習しています。隣の人が使っている本が自分と違えば、ついついその本が気になることもあるでしょうし、新しい基本書について目移りすることもままあります。でもやはり大事なのは、自分の選んだ本と心中すること、この本を極めれば必ず合格すると愚直に信じることにあると思います。

 

 もう一点は、純粋な演習不足です。どの科目も傾向というものがあります。ある科目では誘導にのって起案したり、ある科目では規範定立当てはめ評価の法的三段論法を丁寧に論じることが求められたり、各科目の傾向は様々です。

 それを知らずに試験に挑むというのは、敵を知らずして戦に挑むようなものであり、それでは百戦全て危うくなってしまうのは当然です。

 また、そもそも自分の思考を文章として表現することに慣れていなければ、理路整然としない文字の羅列を披露してしまうことになります。そのことに慌てて気づいて修正する頃には、時間は浪費され、答案は二重線で汚く汚れ、印象を低下させてしまうことになります。

 これを踏まえることなく漫然と挑んだ自分がどういう結果になるのは明らかなことで、反復知識を身につけておらず、演習不足の人間が作り出した答案はクソとなって採点者の元へと飛んで行ったわけです。

 大事なのは、今回手も足が出なかったということを忘れず、克服し、そして次に活かすことだと思っています。まだ1年半ある。これが唯一の救いでしょう。

 おごることなく、緩むことなく、自分の立ち位置を改めて知らされた今回、どう学んでいくべきかをきちんと考える必要があると感じました。

 

 さて、以上が総括です。FUCK自分を綴って今後の戒めとしたいです。

 それから、各科目ごとの良かった点悪かった点をまとめて、答案が返却された時に改めて見直しをしたいです。

 

・各論

憲法

良かった点

まずは答案7枚書ききれたこと。

原告被告私見においてぶっ飛んだ理論を立てることなく書ききれたこと。

 

悪かった点

今回は27年度司法試験同様の出題形式だったが、設問2の答え方が自分の中ではっきりしておらず、原告はこういう主張で、被告はこういう主張でと、これまでに書いたことをなぞっただけの私見となりがちだった。

 

行政法

良かった点

誘導を意識しながら書くよう努められたこと。

途中答案にならず、6枚半書ききったこと。

 

悪かった点

取りこぼしの誘導が散見されたこと。

国賠に関する判例を前提に理論構成すべきところ、その判例を知らずまるまる点数を落としたこと。

 

民法

良かった点

明らかに時間不足の気配があった中、途中答案にならなかったこと。

前半は比較的理論的に書けたこと。

 

悪かった点

答案戦略として、設問3を残してまず設問1と2を起案し、残りの時間で設問3を検討するという謎戦略をとった結果、設問3に配分できた時間が極めて少なかった。

設問3で、場合分けをして論じるように求められた際に、設問の趣旨を曲解(誤解)し、保証債務に関する時効中断が、主債務にも及ぶという謎規範を創作してしまったっこと(設問3後半でその誤解に気づいたが丸々修正する余裕はなく、そのままとなった)

 

・商法

良かった点

とりあえず6枚くらい書ききった。

筋道自体は悪くないものになった。

 

悪かった点

商法の試験は多論点だと知っていたのに、それを意識した答案にできなかったこと。これに尽きる。落とした論点が半分くらいあり、しかもその論点に一切気づいていないわけではなく、そこはかとなく事情の一部として論点として展開すべきところを書いていたりしており、書こうと思えば書けたはずなのに書けなかった。

 

・民訴法

良かった点

前半は丁寧に書くことができた。

民訴法は原則例外を意識しながら法的三段論法を示すことができた。

 

悪かった点

現場思考の問題に対応できず、設問2では賃料増減額請求の訴訟物について誤った回答をした。

設問3の問いの趣旨を勘違いし、一般論として書くべき内容を当該事案について論じてしまった。

また、確認の利益の有無について、愚直に即時確定、対象選択、方法選択について論じず、延々と訴えの利益の有無について書いてしまった。(25年か26年の司法試験の出題趣旨に引っ張られた)

 

・刑法

良かった点

甲乙丙についてきちり8枚書ききった。

構成要件、当てはめ、評価の思考パターンを崩さず書けた。

 

悪かった点

共犯が問題となる事案では、行為者ごとの罪責ではなく行為ごとの罪責を検討した方が見易いときたことがあったのに実践できなかったこと。

 

・刑訴法

良かった点

接見交通という全くノーマークの論点が出されたが、事実を拾って指摘できた。

とにかくマイナーどころか見たことない論点が出たけど、7枚書ききれた。

 

悪かった点

設問2についてはあっさり1枚半程度で終わらせてしまったが、被害届の内容に踏み入って詳しい評価ができたはずであるが、書き終わってから被害届の詳細について気づき後の祭りとなった。時間にどんなに追われていても、事案はよく読むべきである。

設問3については伝聞例外要件の中に、違法収集証拠排除法則の適用があることに気付けなかった。

 

全体的には、途中答案を一つも出さなかったことについて最低限を死守できたと思う。しかし、自分の場合どの科目でも、答案構成時間20分以下という異常に少ない時間で行っていることから、これが本当に適切なのか、今一度検討を要すると思う。

基本的には、答案構成は最低限のメモにとどめ、具体的な規範定立や評価は、書きつつその場で行っていくスタイルだったが、刑訴で事実落としの失敗もあるため今後方針を考える必要もある。

しかしよく考えると、答案構成した紙を2度以上見返すことはなかった気がする。書いたものの使わないなら答案構成の意味とは…

かなり少数派な起案方法なので、今後先生にでも相談することも考えよう。