悩めよわがおつむ

法科大学院で学ぶ学生が日々の学習記録と些細な思いの節を綴るブログ

エクスターン始動

先週月曜日から3週間のエクスターンが始まりました。

今まで学校に毎日自転車通学していた自分としては、朝電車に乗って事務所に通うのはある意味での新鮮さを感じます。
まあ、通勤ラッシュ辛すぎてもう既に電車乗るの嫌なのですが…
 
さて、エクスターンは法律事務所での職業体験みたいなものなのですが、依頼人のプライベートな案件に関わることも少なくないため、学生といえども守秘義務が課されます。
そういう経緯もあってか、エクスターンというものは実際始まるまで何をやるのかわからないというのが現状です。エクスターンと検索しても、具体的に何をやるのかについて綴ったものは少ないと感じます。
もっとも、エクスターンに興味がある学生にとっては、エクスターンに参加する前に情報を集めたり、何か準備できることはないかと考えるのが通常でしょうから、そういった方々の参考になるよう、守秘義務に触れない程度で情報提供できればと思います。
 
さて、その具体的な体験内容としては①判例検索②起案③法律相談同席、その他裁判傍聴等
 
まずは①判例検索です。
たとえば、記録を渡されて、この事案を有利に運ぶために必要な判例を調べといて。
みたいにお願いされることがあります。この場合自前の判例検索システム(ロースクールが提供してくれるLEXや第一法規のあれ)で調べていくこととなります。
ここで注意しないといけないのは、まずどんな判例から調べるかだと思います
判例としての先例価値を持つ判例から、事案を有利に進めるのに必要な情報が落ちてないかを調べるのが出発点です。そのため、判例の重み付けをなんとなく理解しないまま放置しているような場合は、復習しておく方がいいと思います。(民集、集民の違いなどなど)
あとは、判例の射程を深く注意すべきと思えます。結論的には事案に有利なものであっても、前提となる事実関係が全く違うのであれば、その判例を利用して主張を組み立てることはできません。そのため、普段の学習以上に判例の射程については意識を持つべきと思います。
 
次に②起案です。
これがエクスターンで最も注力して行うべき体験になると思います。法曹は文書を書くのが仕事であり、実際、訴状答弁書、準備書面、契約書など、法曹が関わる文書はいずれも社会的に見て極めて重要なものとされています。そのため、こういった書面を書く経験は極めて積極的に行っていくべきと思います。
私自身、毎日1通は何かしらの書面を起案できるように取り組んでいます。
そして、起案するにあたって心に留めておくべきなのは兎にも角にも要件事実論です。自分の主張を構成するための請求原因としてどのような事実を主張すべきか、相手方の主張に対する反論としていかなる主張をすべきかは、すべて要件事実論の枠内で構成されます。
この要件事実に依拠しない起案は、主張内容があらぬ方向に行ってしまう可能性があるため、エクスターンに挑む際は基本的な要件事実は再確認して挑むべきと思います。
 
そして、③法律相談その他です。
例えば、法律相談の場に同席させてもらう場合、私は相談者の話を聞いて具体的事案がどうなっているのかをなるべく短い時間で理解でいるように努力しています。(余裕があれば自分ならどう受け答えするか考える。)
法律相談はだいたい30分で終わるものが多いので、その短い時間で相談を聞き、かつ具体的な案を出すには、まず相談者が何を言っているのかを理解する必要があります。
まだまだロースクール生では具体的解決案を出せないことは多いですが、それは仕方ないと諦め、まずは聞き取りの訓練をするように努める方がいいと思います。(それに、同席の場でロースクール生が意見する機会は無いと思います。)
そして、個人的にはここからが一番エクスターンで大変な部分なのですが、相談を受けた弁護士先生が相談料を受け取り、領収書を書くために席を外して戻ってくるまでの2〜3分、相談者と自分の二人きりの状況が生じます。
この数分をいかに乗り切るかですが、当然相談者から法律相談を受けてはいけません。かといって沈黙のまま過ごすのは極めて空気が重くて辛いと思います。そのため、何かしらの世間話をするのがベターだと思いますので、こういう場面になった場合、世間話をするための引き出しを幾つか用意しておくのがいいと思います。(相談者に気を遣わせて話を振ってもらうのはあまり良くない気がします。)
 
だいたいこんなものだと思います。残りはエクスターン終了してから書きたいと思います。